Aiguillette des Houches (2285m)


3月2日


この山には何度登ったことでしょう。つまりエギュイエット・デ・ズーシュという山は標高差も約1000mとお手軽に登れてしかもルートは判断し易く危険性の少ない山なのでつい足が向いてしまう。ちょっとウォーミングアップに、ハード登山の合間に、しいては登る山を選びかねて、etc. とこういう訳でまたまたこの山に登ることに。今回山スキーで登ることになったので、登山、スノーシューと合わせて三冠王です。

出発地点標高 ル・ベテ le Bettey : 1352m
到着地点標高 エギュイエット・デ・ズーシュ Aiguillette des Houches : 2285m
標高差 ル・ベテ le Bettey 〜 エギュイエット・デ・ズーシュ Aiguillette des Houches : 933m
所要時間 シャイオ小屋 chalets de Chailloux 〜 エギュイエット・デ・ズーシュ Aiguillette des Houches : 約2時間30分
エギュイエット・デ・ズーシュ Aiguillette des Houches 〜 ル・ベテ le Bettey :
約1時間
地図 IGN 3531ET



この日の朝も憂鬱な気分で窓のカーテンを開けた。というのも今週はいい天気になると予報では言っていたのに週前半は最悪な天気だったからで、今日もカーテンから漏れる日差しが晴天のそれとは思えないからだ。案の定、雲が低く垂れ込めた空は灰色で重苦しかった。こうした天気を予想して、今日はモン・ブラントンネルを通り国境を越えイタリアに行く予定。予報ではイタリア側の方が少しは天気が「まし」らしい。

車2台に分乗して出発。モン・ブラントンネルは1965年に開通した長さ11.6kmのフランスとイタリアを結ぶ動脈で、まさにモン・ブランの下を貫いている。1998年3月にトンネル内で事故があり多数の死者を出して以降長年通行不可能だったが、近年再開通し、しばらくは時間毎の交互通行になっていた。
トンネル入り口にさしかかる坂を上り始めた途端、渋滞でストップしてしまった。全く動かない。すぐにカーラジオをつけてみると、トンネル内で事故があり現在その事故車を運び出そうとしているという。しかも運の悪いことに事故はトンネルほぼ中央で起こり、イタリア側に運び出すという。イタリア側へ・・・イタリア人が事故処理にあたる・・・相当時間がかかるな・・・とみんなで笑えないジョークを言いながら1時間半も待ったが開通の兆しがなく、Uターンする車が徐々に増えてくる。私達も致し方なく車を引き返した。

さてではどこへ向かうかと話していると、2人がエギュイエット・デ・ズーシュにしようと言い出す。私は5日前に登っているため他の山が良かったのだが、時間はもう10時をまわったし、シャモニの山の家に掲げられた雪崩危険度を示す旗は黒いし、ここは通いなれたこの山に登ることに同意した。

いつものようにル・ベテに車を置き、11時になっていることもあって急いで身支度を整えシールを装着し出発。しばらくは夏の登山道を登るが、途中からそれてトレースのない樹林地帯を入っていく。かなりな深雪と狭い木々の隙間をぬってのシール登行なため結構体力を使う。

山の家に掲げられた黒い旗は雪崩の危険度が最大を意味する
夏山登山道をしばらく登る
木々はこんな感じで茂っているのでこの間をぬうように登行

今日は木々のお陰で風や雪にさらされずにすみ、立ったままだがゆっくりサンドイッチが食べられる。寒さのせいでそれほど食欲はなかったが、食べられるうちに食べれるだけお腹に詰め込んだ。立ち止まると途端寒さが襲ってくるので、食べ終わるや否やすぐ出発。

13時30分、見慣れたシャイオ小屋に到着。この辺りでまた一段と雪、風とも強くなり視界が悪くなる。ここから山頂までは傾斜が少しきつくなり、雪崩の危険が無いわけでもないのでお互い充分な間隔をあけて登行する。よく知ったルートなので、自分にあと少しあと少しといい聞かせながら高度を稼いでいく。

14時25分ようやく山頂にたどり着くもののまわりは真っ白。しかも常にみんなが間隔を取って立っているため、リーダーの指示が伝言ゲームのように隣から隣へ伝えられる。シールを剥がして滑走準備。
登ってきたルートとほぼ同じように下る。雪質はすばらしくまさに新雪のふかふか雪だった。登りではシャイオ小屋から巻いて登った箇所を下りは直降したのだが、この斜面が60度位あろうかと思えるほど(ちょっと大げさだが)で、腰までも埋まりながらミニ雪崩を起こしつつ数十mを滑り落ちた。山スキーとは本当にいろいろな斜面に出くわす。

シャイオ小屋からは再び樹林地帯に入り、ターンを小さく小さく刻みながら降りていく。ここで木に衝突したら恥ずかしいからね。

シャイオ小屋を過ぎたころ視界は悪くなる
山頂に着くも眺望なし
運転操作を誤らないようにでないと木に衝突する羽目に

この木を避けながら滑るというのも案外難しい。スラロームならば割と等間隔でポールが立っているし、当ってもポールは倒れてくれる。木はそうはいかないし、森林内は視界が狭くなるから先へ先へと読んで滑りぬける事ができない。これはもうスピードを落とすしかない。でもこの木々をすり抜ける感じはまるで兎になったようでスキーの違う楽しみがある。

標高を下げたところで夏山登山道に合流し、そのままル・ベテの村まで一気に降りる。
最初はまたこの山か、と思ったものの、素晴らしい雪質と変化に富んだルートで充分に満足できた1日でした。
でもいつになったら太陽は顔を見せてくれるのだろう。

(注意!)シャモニの山の家に雪崩の危険度を表す黒い旗が立った時は、よっぽど熟知したルートでないかぎり山行を中止した方がいいと思います。



 





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